SAiのカードゲーム研究所

カードゲームに関するアレやコレやを書き綴ってみたり

新作TCG【レギオンズ!】レビュー

初めての方は初めまして。そうでない方はこんにちは。世界の隅っこでカードゲームをしているカードゲームおじさん、SAiと申します。

今回はひむかいさん(日向悠二氏)のイラストに惹かれて買ってきた【レギオンズ!】というカードゲームがあまりにも面白かったので、「その魅力を少しでもお伝えできれば」と思いブログを立ち上げることにしました。

そんな訳でこの【レギオンズ!】の魅力をサクサクサクっとご紹介したいと思います。

1.レギオンズ!の概要

・プレイヤーの分身たる魔法使い《マスター》のカード1枚と《ミニオン》と呼ばれる従者、もしくは使い魔たるカード、《スキル》と呼ばれる特技、または魔法に類するカード、そして《マスター》が《覚醒》した後に使えるようになる《ロード》や《アーツ》と呼ばれる強力なカード。これら5種類のカードを組み合わせた41枚*1のデッキを用いた2人対戦型TCG

・4つの属性と、属性2つの組み合わせを持つカードでデッキを組む所謂「クラス制」と、カードをアンロック(使用)する際にMP(コスト)を要求される「コスト制」を採用。

・勝利条件は「相手のライフを0にした時」、「対戦相手のデッキが0枚で、ドロー出来なくなった時」、「自分の《コアゾーン》と《リーダーゾーン》にコア*2を12個集めた時」のいずれかを満たせば勝利となります。

概要を大雑把に書き出すとこんな感じです。既に幾つかのTCGをプレイされている方ならばそれなりに馴染みのあるシステムですね。「クラス制」と「コスト制」は最近流行のデジタルTCGでもよく採用されているので「アナログのTCGにも興味はあるけど、沢山種類があるし、なんだか難しそうだし…」という方でも敷居は低いと思います。

2-1.レギオンズ!のここが凄い!そのいち

前項でよく採用されているシステムと書きましたが、当然それだけではありません。ではレギオンズ!の何が魅力的なのか、レギオンズ!の何が凄いのか…それを語る前に、まずはこのカードを見て頂きましょう。

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このカードはスターターセットにも収録されている《ルーンブレイダー》のクラス専用カードの内の1枚です。他のTCGで類似するカードとしては「マジック:ザ・ギャザリング」の《怒り狂うゴブリン》や「シャドウバース」の《クイックブレーダー》といった1コスト1/1で、使用したターンから攻撃が出来るというカード。「なんだ、ただの雑魚カードじゃん」そう感じる方も少なくないでしょう。ですがこのゲームは「マジック:ザ・ギャザリング」でも「シャドウバース」でもなく「レギオンズ!」という名のゲーム。このカードは類似するカードと違い序盤から終盤まで大活躍!…する可能性を秘めたカードなのです。

その理由は「レギオンズ!」最大の特徴と言える【タイムラインバトル】と呼ばれるシステムにあります。このシステムの概要としては「一度アンロック(使用)したカードは規定のターンが過ぎれば繰り返し使用でき、再使用の際はコストを要求されない」というもの。規定ターンはカード毎に異なり、この《かまいたちの次姉アヤメ》であれば画像右下の「WT(ウェイトターン)Ⅱ」という部分で示されます。このカードの場合、ミニオンゾーンと呼ばれる領域から離れて2ターン後(対戦相手のターンでなら3ターン後)にはノーコストで再使用出来る、ということですね。《怒り狂うゴブリン》や《クイックブレーダー》は倒れればそれまで、「君の事は、もう忘れたよ…」となってしまいますが、この《かまいたちの次姉アヤメ》は貴方が望めば、何度でも貴方の為に戦ってくれます。たった1コストのカード1枚で相手に大量のダメージを与えられたり、相手のミニオンを何体も倒すことが出来る、かもしれないカードゲーム…。それが「レギオンズ!」というカードゲームです。

2-2.レギオンズ!のここが凄い!そのに

ギオンズ!は「自分がカードをプレイするのは自分のターンのみ」というシンプルなシステムですが、とても奥深い戦略性を兼ね備えたゲームとなっています。その理由は先ほど触れた【タイムラインバトル】というシステムによるものです。先ほどは「繰り返し使用できる」という点に絞って紹介しましたが、この「繰り返し使用する」為に作られたシステムが他の「自分がカードをプレイするのは自分のターンのみ」のゲームよりも奥深い戦略性を作り出しています。

具体的に説明をしますと、このゲームには使用済みのカードを置く領域、所謂「墓地」というものがありません。では倒れた《ミニオン》や使い終わった《スキル》は何処に行くのか?それはウェイトゾーンと呼ばれる領域です。先ほどの画像のカード《かまいたちの次姉アヤメ》であれば、倒れた後ウェイトゾーンのⅡという領域へ移動します。その後プレイヤーのターン終了毎により数字の小さいウェイトゾーンへカードを移動し、最終的にスタンバイゾーンと呼ばれる領域へ移動することで再使用する事が可能となります。このウェイトゾーンやスタンバイゾーンは「公開領域」であり、いつでも、どのプレイヤーでも見ることが出来ます。感の良い方はもう察していると思いますが、このウェイトゾーンやスタンバイゾーンに置かれているカードは言わば「第二の手札」なのです。それも、ノーコストで使用できる。お互いの公開領域に増えていくカードを見て、どう動くのがベストなのかを考える。「今」だけでなく「その先」を見据えた戦略を求められます。

「いやいや、それだけなら他のTCGと大差ないでしょ」そう思われた貴方はせっかちさんですね?「私はまだ説明を終えていない!」…という茶番はほっぽって、その先の説明を。時間経過の概念を取り込んだこの【タイムラインバトル】、当然ながら時間にも干渉します。それも、お互いの時間に。

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この2枚のカードも先ほどの《かまいたちの次姉アヤメ》同様、スターターセットの《ルーンブレイダー》デッキに含まれるカードです。画像左側の《猫又オリョウ》は自身のウェイトゾーンにあるカードを対象に取り、再使用が可能になるまでの時間を加速します。画像右側の《オーガクイーン》は逆に相手のウェイトゾーンのカードに干渉し、再使用が可能になるまでの時間を逆行させます。今回は特に取り上げませんが、中には「相手のカードをWTⅣへ移動させる」、「ウェイトゾーンにある《ミニオン》をミニオンゾーンに移動させる」等の効果を持つカードもあります。

これらの時間に干渉する能力を持つカードと直接戦闘に寄与する能力を持つカードを上手く組み合わせたデッキを作り、公開領域にあるカードと非公開領域(手札)のカードを使いこなし、相手の予測の先を行くことが勝利への布石となることでしょう。 

2-3.レギオンズ!のここが凄い!そのさん

ギオンズ!の概要でも書いた通り、このゲームは「クラス制」を採用しています。通常クラス制を採用しているTCGでは「そのクラスに属するカードと、どのクラスでも使用できるカード」を用いてデッキを組むことになります。このシステムは「戦略に沿ったデッキが組みやすい」というメリットを持つ一方で「デッキの固定化」の一因となるデメリットを孕みます。ですがこのゲームはクラス制を採用しているTCGでありながら非常に自由度の高いデッキ構築が可能となっています。

その理由は「マスターの持つ属性以外のカードも使用出来る」という点にあります。例えばスターターセットに含まれる《ルーンブレイダー》は赤と白の2つの属性を持ったクラスですが、赤と白のカードしか使えないわけではありません。黒と緑のカードも使えます。使えるけれど、ちょっと苦手なだけなのです。

「一体全体どういうことだってばよ…」と思われるでしょうから補足すると、《マスター》が持つ属性以外のカードを使用する際は+1の追加コストを要求されます。《ルーンブレイダー》であれば黒と緑のカードは+1の追加コストさえ支払えば使える、ということですね。他の属性のカードでも相性が良いカードであったり、弱点を補うカードを採用することが出来ますし、固定観念を逆手に取り「そのデッキからそんなカードが出てくるのかよ!」といった状況を生起させられたりもするでしょう。ただし、当然ながらクラス専用と書いてあるカードは除きます。それが出来てしまうとクラス制である意味がまるでないですからね…。 

3.レギオンズ!レビューのまとめ

・比較的馴染みのあるクラス制、コスト制のTCG

上記に加え、独自の【タイムラインバトル】のシステムが奥深い戦略を生み出す

・クラス制TCGでありながら自由度の高いデッキ構築が可能

とまぁ、こんな感じでしょうか。

まだ色々と書きたいこともありますが、もしこの記事を読んでくれた貴方が少しでも興味を持ってくれたのなら公式サイトを見に行く方が良いでしょう。

そんな訳で今回のレビュー記事はここまで、最後はお決まりの文言で締め括ると致します。

「この記事を読んだ貴方は公式サイトにアクセスしてもいいし、しなくてもいい」

 

*1:内マスター1枚、同名カードは3枚まで

*2:コアとはMP(コスト)を生み出すためのもので、他のTCGならマナ等と呼ばれるものを生み出すものです。